工房製カリンバのお手入れの仕方
2025.4.4 公開
2025.4.29 図を追加しました。キーの緩み回復法を追加しました。

普段のお手入れ

弾いた後は…

気になるときは、乾いた布で付着した汗等を拭って下さい。
本体の木部もキーの鉄の部分も、水気に弱いので、できるだけ乾拭きでお願いいたします。
どうしてもスッキリしたいときは布を水ですすいで硬くしっかり絞ったもので拭いてください。

カリンバに使用されたニスはアルコール溶性ですので、木部には洗剤・アルコール・有機溶剤はご使用にならないでください。

高音・多湿・直射日光の当たる所を避け、室内で保管して下さい

サビについて

金属部分はどうしても錆びやすいので、ご了承下さい。
工房独自の澄んだ音色を作るために、キーにはピアノ線を使っていますが、これも鉄なので、自然に錆びが出てきます。

鉄のサビの性質として、赤サビは侵食性があるので良くありませんが、黒サビになるとそれ以上サビは進まずむしろ保護膜として働きます。ですので、赤サビが出ましたら紙やすりなどで磨いて取ったりせずに、乾いた布かティッシュなどで取れる分だけ拭き取ってやってください。次第に黒サビに変わっていきます。

サビは音色にはさほど影響ありません。


チューニング(調律)の仕方

ご用意いただくもの

当て木または付属のチューニングバー
ハンマー
当工房では唐紙槌15mmというサイズのものを愛用しておりますが、 自分でしっくりくるサイズで大丈夫です。
チューナー
各楽器メーカーの販売するクロマチックチューナー。
今はスマートフォンのアプリでも出来ます。耳だけで出来る方は不要。

カリンバの音程は、キーの指で触れる側の突き出しが長いほど音程が低く、反対に短いほど音程が高くなります。
このため、カリンバのチューニングは、音を聞きながら突き出し長さを微調整する事で行います。
当て木、ハンマーを用意し、音程を低くしたい場合はキーの枕木側から叩き込みます。

反対に、高くしたい場合はキーの弾く側から叩き込みます。

音程は、元の位置から1〜2ミリ上下方向に動かすと半音くらい変わります。ハンマーで一回叩くだけでも数セントは音程が変わるので、力加減も含め少しずつ行って感じをつかんで下さい。


音が変わった?

カリンバは時々、弾いている時に澄んだ音に混じって雑音(オノマトペ的には”ジー”とか”チー”といった感じ)が出る事があります。

そうなるケースをいくつか挙げると

1)完成して間もない楽器
2)チューニングの直後
3)弾かない期間が長かった(前弾いた時から季節が変わるくらい)
4)経年変化
5)指を板に押し付ける方向にキーをはじいている。
6)キーの側面に何かが触れている
(本体木部、留めつけの針金やネジ・プレート、他のキーなど)
→この場合はキーを左右どちらかにちょっとずらしてしのぎましょう

6番目以外はどれもパーツ同士の馴染み不良が原因です。
カリンバは、各キーを留めつけける力が十分で均一だと綺麗な音が出ます。
どれかが緩んでいたり、バランスが取れていないときに雑音が出るので、あまり目立つときは調整します。

ケース毎に対処は変わっていきます。

1)〜3)の場合
弾いているうちに治る事も多いので、あまり大掛かりな事はせずに様子を見るのがいいでしょう。
キーと駒の当たっている位置を左右のどちらか、わずかにずらしてみて見るのも時に効果的です。枕木側の木目にどんな風にキーが乗っているかでもパーツのあたり方が変わるので、必ずしも真っ直ぐに配置するのがキーのベストポジションとは限らないのです。
乾燥した季節はどうしても全体に緩むので、雑音が出やすくなります。また、エアコンから離してみるだけで治る事もあります。
様子を見ても治りそうもないときは、キーが緩んだ時の対処法(以下の方法)へ進みます。

キーが緩んだ時の回復法

4)のケースでは、キーに負担がかかり、変形するので、よく鳴らすキーから緩みます。
5)は、組み立てた直後には分からなかった特定のキーの緩みやすさが、パーツ同士が馴染む事でバランスが変わってだんだんはっきりしてくるというケースです。 また、先の1)〜3)のケースの場合で様子を見ても治らない時も、これから示す方法をお試しください。

原理

カリンバのキーは、駒と枕木の上に乗っており、その上に押さえ棒が駒と枕木の間の位置で乗っております。そして、キーが上下方向へそり返るくらいに押さえ棒が下向きにキーを押し付ける事で、半固定の状態を保っております。

※ここで半固定とは、指で弾いたぐらいの力ではキーがずれたりしないけど、ハンマーなどで叩けば位置を変えたり取り外したり出来るぐらいの固定具合を指します。

しかし、何らかの理由により、あるキーの反りが他のものより相対的に大きくなってしまうと、半固定状態でいるための押さえつける力が確保出来なくなり、弾いた時に異音がするようになります。
緩んだかどうかは見た目には分かりません。音を鳴らして見て気づく事になります。
ただ言えることは、キーが反りすぎているというのが原因なので、これを回復することで、また固定する力が戻り、元の音色に戻るという事になります。

方法は2通り

当工房のカリンバのモデルによって方法が異なるので、お手持ちのモデルに合わせてお進みください。

ワイヤー締めで
・キーの枕木側がまっすぐの製品は方法A
・キーの枕木側が上向きに反っている製品は方法Bへ(ゲゲゲのカリンバはこちら)
・それ以外のもの(ムビラ、coPolonなど、ネジ締めでキーを留めるもの)に関しては一度当工房へご相談ください。

方法A
・キーを今ある位置から15ミリ程度枕木側へずらす。(キーが外せる場合は外してしまっても構いません)

・ずらしたキーをペンチ等でつかみ、ごくわずかに本体側へ曲げる。(または外れたキーの反りを伸ばす。)
※曲げることで、しっかり止まる様になりますが、曲げ過ぎると他のキーがかえって浮いてしまう事があるので注意。

・元の位置へ戻してチューニングをし直す。

方法B
・キーを枕木側からハンマーで叩いて、駒側から外す。




・外したキーの反りを伸ばす。



・駒側からキーを元の通りに差し込み、チューニングをし直す。



それでも直らない時やメンテナンスに自信の無い時は、創作カリンバ工房へメンテナンスをご依頼ください。
お客様の往復送料のご負担にて調整いたします。